Calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
映画情報
リリース情報
Category
New Entries
Recent Trackback
Archives
Links
mobile
qrcode
Search
RSSATOM
-->
<< シネクイント楽日決定のお知らせ | main | ☆アイスランド写真展のご案内☆ >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by: スポンサードリンク | - | | - | - |
【コラムvol.10】Iceland Airwaves
 映画『スクリーミング・マスターピース』の公開に伴うこのブログも、今回が最終回です。これまでのブログをお読みいただき、アイスランド音楽シーンのことを少しはお分かりいただけたでしょうか。映画を見る時の、何かの参考になることを願っています。
 
 今回は私がアイスランドに滞在していた時に起こった最も印象深い出来事・遭遇をお裾分けすることにします。題して「シガーロス10周年記念誕生日パーティ潜入記」です。
 
 あれは2004年1月10日(土)のことでした。何だか知らない間に、私はシガーロスの「10歳の誕生日会」に参加していました。これが本当に、何だか知らない間に・・・だったのです。以下はその当時に書いた文章ですが、あまりにも長文であるため、このブログ用に編纂しました。
 
-----------------------------------------------------
 
 ヨハン・ヨハンソンから数日前に気になることを耳にした。電話での短い連絡で、「よくわかんないんだけど、今度の土曜日にシガーロスの誕生パーティがあるらしい。そこでトラバント(注:映画『スクリーミング・マスターピース』の中で、大統領官邸で演奏したグループ)が演奏するみたいだから、行くといいかもしれない。場所は僕もよくわかんないんだけど、誰かに会った時に聞いてみてくれ」ということ。
 これが東京であれば日時も場所もはっきりしない不親切極まりない情報だが、レイキャヴィークであれば事情は別。トラバントのメンバーは友人なので直接彼らに聞いてもいいし、国際的に活躍するシガーロスのパーティなので、他の音楽関係者も知っていることだろう。街でシガーロスのメンバーを見かけるかもしれないし、情報の断片さえあれば、それで事は足りる。
 案の定、その場所はキモノのメンバーであるアレックスが教えてくれた。「そのパーティについては知らないけど、会場はきっとレストランの上階だと思う」と。
 
 指定された当日、もしも場所が分からなければ誰かに電話すればいいやと、アレックスから聞いた場所へ行った。そこは宿泊していたホテルの2軒先なので、間違えたとしても大したことはない。確かにレストランとは別側にドアがある。しかし有名バンドのパーティの割には周囲にまったく人がいないし、目の前の白い大きな扉は人を拒むかのように冷たく閉ざされているし、不安。
 案の定、その扉は押しても開かなかった・・・と思ったら、私の押し方が足りないだけだった。アイスランドの扉は往々にしてこんなもんだ。店舗の扉でも人を拒むかのように固く閉じられている。厳しい自然環境を思えば当然のことだが、ドアは開いているか、自動ですぐに開く日本の軽薄ドアしか知らないため、どうも勝手が違って戸惑うことが多い。
 
 業務用のような大きなエレベーターで最上階へ行くと、一応照明はついていた。それでも不安・・・だって、本当にシーンとしていて、パーティ会場という雰囲気が一切ない。日本のように親切に、「パーティ会場はこちら」なんていうビラさえ貼っていない。もっとも貼ってあったとしても、アイスランド語では読めなかったことだろう。

会場上階へ行くとバーのカウンターがあり、女性2人と男性1人が飲み物を用意していた。
 
 「誰かの誕生日だか何かがあると聞いて来た者ですが、何のパーティなのでしょう?」とそこの女性に尋ねると、「シガーロスの結成10周年パーティよ。”誕生日”ってことみたいだけど。メンバーは奧の部屋にいるわよ」
 
 2003年4月の来日の際シガーロスとは東京の駐日アイスランド大使館で会っていたが、その時はコンサート後で疲れていたような感じだったので、自己紹介もそこそこあまり声をかけなかったから、たぶん彼らは私を覚えていないことだろう。まだ人がまばらでガランとしているため、とてもバツが悪い。知らんぷりでも変なので、ここは思い切って自己紹介することにした。
 
 「日本からたまたま来ている悠加です。アイスランド大使館でお会いしたことはあるんだけど、きっと覚えてないことでしょう。ヨハンからの電話で今日のパーティを知って、来ちゃったんだけど、招待されているわけではないから、お邪魔だったら・・・」と言いかけたら、
 「自由に飲んでエンジョイしてくれればいいよ」と言ってくれたのがキーボード担当のキャルタンだった。彼らはヴーヴクリコを飲んでいた。
 「私、10月のエアウエイヴスの時も来ていて、アルバム・リーフの演奏はすごく感激したわ」とキャルタンに言うと、隣のマリアが「私も演奏していたのよ」と。マリアはシガーロスのバックでバイオリンを弾いているアミーナのメンバーであり、キャルタンの奥さまでもある。金髪、色白、小柄のとても素敵な北欧女性だ。
 「もちろん覚えているわ。ギター、キーボードの響きにしっとりと艶やかなあなたのバイオリンがとても美しかったわ。ただでさえ綺麗なレイキャヴィークの空気を、更に浄めて人を夢心地にするような、本当に胸にジンとくる演奏だった」
 それを聞いたキャルタンもマリアも満足気だったし、私のその言葉は決して嘘ではなかった。キッチン・モータズのキラキラことクリスティンに連れられて見たアルバム・リーフは、誰だか知らなかっただけに、先入観なしに演奏を聞くことができたし、ヨハンの教会ライヴと並び、エアウエイブスのマイ・フェイバリット・ライヴだった。

 そんな話で少しはもりあがろうかと思った時に、ガタイのデカイ人物がやってきた。トラバントのドッディだ。そして私の横にかなり目鼻立ちの整ったスタイルのいい30代であろう女性が座った。そしていきなり私に向かって「私が留守中に家に来た人ね」と言う。
 何の事やらわかりませんとばかり、何の言葉も返せないでいると、
 「私がドッディの同居人、ガールフレンドのラーラよ」
 
 2003年5月、アイスランド・ブルーというイベント関係の出張で私は初めてアイスランドへ行った。その時に出演予定のトラバントのメンバーにインタビューをしたのが、ドッディの自宅だったのだ。なんだそうだったのか。確かにお邪魔しました。ベッドの上にコートを置かせてもらいました!
 「あの時は自宅を使わせてくれてありがとう」ということで、ラーラとの会話が始まった。彼女はキャルタンのお姉さんで、フューネラルズのメンバーでもあるという。誰が誰の友人でも驚かなくなった私ではあるが、さすがに実の姉というのは少し驚いた。つーことは、ドッディはキャルタンの義兄弟ってこと?!
 
 次にはトラバントのギター担当ヴィッディが可愛いガールフレンドを連れてやって来て、ヴォーカルのラッキも現れた。何時頃からライブをやるのかと聞くと、残りの1名が仕事の都合で11時頃まで来られないだろうという。
 「とにかく全員集まったらやるから」というアバウトな返答。入場料があるわけではないどころか、無料で飲み放題なんだからライブがいつ始まろうと構わないよね。
 
 会場の音楽はDJを頼まれた人物(後のトラバントの新しいメンバー)と、シガーロスのヴォーカル担当ヨンシーの趣味で決めているという。70年代のモータウンやポップスが中心。カーペンターズは「The Singles」というアルバムを3回ほどフルにかけていた。その他はジャクソンズやマーヴィン・ゲイなど。
 
 後日知ったことだが、この日この会場には「大統領以外の有名人が全員居る」というほど、地元では知られた人が揃っていたそうだ。確かに私ごとき部外者でも、20名程度は顔を知る人物がいた。そんな彼らを通して紹介される人は全員何らかの芸術に関わっていて、映画監督、美術アーティスト、小説家等がすこぶる多かった。
  
 それは人混みをかき分けてバーのカウンターに近づいた時だった。1時間前とはうって変わって、にぎやかになった会場にビョークを見つけた。彼女は鮮やかなピーチ色のロングドレスを着ていた。胸のところがシャーリングしてあり、そこからカーテンのように流線型を描いて、布がきれいに垂れているような、そんな感じのドレスだった。

Bjork

 私もビョークの音楽は大好きで、どーしてもたまらなくて、お邪魔にならない程度に一言あいさつをして、4回目の訪氷にしてやっとビョークに会えた!とミーハーしながらステージへ戻ると、トラバントのメンバーが全員揃っているではないか。時計を見ると11時をまわっている。会場はすし詰め状態。150人ほどいるのだろうか。それでも、前の方には余裕があるようなので、遠慮なく最前列へと進んだ。ステージ前とはいえ、ステージも客席も高さは変わらない。正確に言えば、ステージとおぼしき場所には10センチほどの段差があるのみだ。

 サウンドチェックを終えてメンバーが会場外へ出ると、頃合いを見計らったように蝶ネクタイの老紳士がステージのマイクの前に立った。誰なのかわからない。アイスランド語なので話の内容もわからない。観客が神妙に拝聴しているところを見ると、誰かエライ人なのだろう。 
 
 トラバントの登場はいつも大げさだ。ファンファーレのようなシンセが鳴り響き、メンバー全員が天に手を仰ぎ、いかにも「これから大暴れするよ!」という雰囲気をかもす。趣味の良さを示す代表格の”さり気なさ”とは全く無縁のグループで、何でも派手にやらなくては気が済まない。トラバントは今回も超ノリノリだった。それもミュージシャン仲間や業界人が多いせいか、客席とステージの間には強烈な期待感があり、異様な盛り上がりを見せた。シガーロスのお気に入りバンドでもあるから誕生日を迎えた本人達は全員前に繰り出し、特にキャルタンは奥さまのマリアといっしょに最前列の真ん前で拳を振り上げて楽しんでいた。
 
 トラバントのヴォーカルのラッキことラグナールは本当に演劇好きで、アチコチの小シアターで機会あるごとにパフォーマンスを繰り広げているし、アイスランドのクリスマスの終了日(1月6日)には山へ帰るサンタのパフォーマンスを私も見た。ヨーロッパ諸国でも名高い舞台監督を父親に持つ血筋か、根っからのステージ人間だ。
 そして今日はアイスランドが輩出した国際的バンドの結成を祝う晴れの舞台だ。ラグナールはタキシード姿で髪もバックでバッチリ決めて、見た目はフォーマルだが、歌うその姿はクレイジーなロックンローラー。本領発揮で中盤からはシャツを脱ぎ、そしてズボンを脱ぎ捨てる。ズボンの下は白い線の縁取りがある黒いブリーフで、何でも家族がクリスマス・プレゼントにくれた”衣装”だそうだ。彼がブリーフ姿になる頃にはビョークも前列までやってきて、楽しそうに踊りまくっている。こうしてアーティストがひしめいているレイキャヴィークでも、ご当地一流の音楽アーティストがこれほど集うことは滅多にあるまい。
ビョークとシガーロスがそこにいるだけでもスゴイのに、その上アメリカやイギリスのレーベル経由で世界中にCDが出ているグループのメンバーも数多く顔を揃えていた。
 
 ラグナールのセクシーなブリーフ姿に誘われ、ムギソンがギターを持って飛び入りしてきた『Lonely Mountain』というアルバムで2002年に突然現れた話題のアーティストで、2003年9月にはムームと共に来日してギター、歌、ラップトップでのワンマンバンドのパフォーマンスを見せてくれた。街で見かけるムギソンはやわらかな物腰の男性だが、今日のステージは今までにないほど激しくロックンロールするムギソンだ。ラッキとのちょっとエッチな掛け合いもあり、これ以上あり得ないというほど客席も激しく盛り上がる。そこにいつもはクールな顔をしているベースのヴィッディが、クイーンのフレディ・マーキュリーのようなバレータイツ姿を披露。もう何がなんだかわかんないよ・・・。
 アイスランド語での「ハッピバースデイ、シガロース!」というのも歌われ、滅茶苦茶楽しくパーティは・・・・始まった。夜の夜中だというのに、これが始まりで終わりではなかったという。これから結局、明け方まで人が出入りし続け、飲み明かしたというのだからスゴイ。
 
贈り物 彼らのパフォーマンスが終わると、シガーロスのメンバーがシャンパングラスを片手に、トラバントの楽屋を訪れたという。インフルエンザで熱を出していたキャルタンは、「トラバントは奇跡だ!僕の風邪を治してくれた!気分は最高!」と大喜びだったそうだ。しかし乾杯をして、シャンパンを一杯飲んだ直後に「う、やっぱり気分が悪くなってきた・・・」と蒼白になり、周囲の人間は笑うに笑えなかったとキャータンは数日後に会った際に教えてくれた。
 
 会場脇の長テーブルの上には、”誕生日”プレゼントが置いてある。メンバーの顔をデフォルメしたアート作品、花束、シガーロス(栄光の薔薇)を示すようなドライフラワー、紅茶セット、誕生日カードなどなど。
 
 
-----------------------------------------------------
 
 これまでに6度アイスランドを訪れ、音楽関係者やミュージシャンに会い、あれこれを見聞きしてきた中でも、このシガーロスの誕生日会のことは、とても印象深い出来事でした。それでも、個人的にはこれに勝とも劣らぬもっと思い出深い出来事もあり、それも機会があればどこかでご披露できればと思っています。
 
 ごく一般の音楽ファンとしてアイスランドへ行き、短期間でこれだけ現地の音楽シーンの中に入り込めるかどうかは疑問だとしても、そういったことを垣間見ることは可能です。特に音楽フェスのIceland Airwavesの期間は、そういった雰囲気がたっぷりあり、音楽ファンは楽しく過ごせることでしょう。

Airwaves
up(写真左)
AirwavesでのSlowBlowのステージ。SlowBlowとしか書いていなかったけれど、実際はMUMも入っていました。映画の中と同じ構成メンバー。
up(写真真ん中)
Airwaves開催中、マスコミ向けに行ったカラシ(現在は解散)のシークレット・ギグ。手抜きの一切無い素晴らしギグでした。
up(写真右)
バングギャング。このバンドはいつ見てもキチンとドラマチックにやります。リズム隊に個性的なプロを配備しているので、外すことがない。


 
 今回で私のブログは最終回ですが、引き続きICELANDiaのブログは続けますので、ぜひ引き続きお付き合いくださいね!今までお読みいただき有り難う御座いました。


   小倉悠加(ICELANDiaレーベル代表)
 ⇒ICELANDiaブログ
 ⇒ICELANDia音楽ショップ
 Text&Photos by Yuka Ogura (C) Alljos Entertainment co., ltd.
posted by: SCREAMING MASTERPIECE | アイスランドコラム | 19:32 | - | - |
スポンサーサイト
posted by: スポンサードリンク | - | 19:32 | - | - |